意識がなくなる発作


  ある日突然、意識が無くなり倒れて全身けいれんを起こした場合、まず考えられるのはてんかん発作です。 てんかんは発作時のみ異常で通常は全く正常なのが特徴です。 脳波検査で突発性異常(棘波、棘徐波といって通常の脳波の波形より尖った波形や、振幅の大きい徐波が結合)が見られます。 ただし、発作時以外は脳波に異常が出ないことも多いのです。 またてんかん発作にはいろいろのタイプがあり、意識消失のみのもの、けいれんを伴うもの、異常行動を示すもの、発作時間の短いもの(数秒)や長いもの等あります。 また意識消失を伴わないタイプ(部分発作)もありますので、専門医による診断が大切です。
 脳血管障害の中で、脳幹部という脳の一部に一時的に血流低下が生じても、一過性の意識消失を生じます。 この場合はけいれんは伴わない事が多く一過性脳虚血発作(TIA)といいます。 脳梗塞の前ぶれですので、大脳血管系や心臓の精査が必要です。
 
 特殊なものとして一過性全健忘という病気があります。 ある日突然、単純な意味のない動作をくりかえしたり、同じ質問を繰り返す(いまどこにいるの?等)ようになりますが、その他は歩いたり、食べたりの生活は出来、単純な医師の質問(計算や、ここはどこか?名前など)にも比較的正確に答えることができる状態ですが、家族がみると通常とは異なる異常な状態が数時間もしくは数日続く事があります。 病院を受診していろいろの検査(脳CT、MRI等)をしても通常異常が見つかりません。 正常になった後で本人にその間の事(どこにいたとか、どんな行動をしたとか)を聞いても全く覚えていない(全健忘)のです。 原因は不明ですが、大脳の記憶に関係している海馬という部分に一過性の血流低下が生じた等の説があります。