手足のふるえについて

  手足が振るえる“との訴えで受診される患者さんは、比較的多くおられます。 おもしろい事に、この”手足が振るえる“といった症状と中風(脳卒中)と結びつけて心配されている事です。 むろん神経内科の病気には手足が振るえる病気があります。 ただ脳卒中で最初に生じる症状で”手足が振るえる“事は非常に少ないと考えて下さい。 脳卒中で多いのは、やはり手足が動かなくなる方(麻痺)なのです。

  神経内科の病気で”手足が振るえる“場合、考えなければいけない多いものとして、本態性振戦パーキンソン病があります。 本態性振戦とは、中高年に生じ、何か物を持ったとき(コップなど)に手が振るえるので気付かれます。 患者本人の両親や兄弟、親戚等にも同様の症状のでる場合が多く、この場合は家族性本態性振戦といいます。 高齢者に生じた場合は基本的には病態は同じですが老人性振戦といいます。 これらの振戦の特徴は動作時に症状が強く現れますが、じっとしている時(静止時)には止まっています。 又、首が振るえる事も多い様です。 これらは振戦以外の症状は無く、全身に及ぶ事はありません。 これに対して、パ−キンソン病によるふるえは、静止時に生じ(静止時振戦)、本態性振戦より、より粗大なふるえです。 又、パ−キンソン病はこの振戦以外にも、歩行障害や姿勢反射障害等、全身の運動機能に及びますので神経内科専門医の診察を受け正しい治療が必要となります。

  その他にもふるえに関してはいろいろの病気がありますので、心当たりのある方は一度神経内科を受診してみて下さい。