平成11年4月1日よりこれまで伝染病予防法をはじめとする法律は廃止され、新たに感染症予防法が施行されました。
文部省ではこれを受けて学校における伝染病予防について見直しを行い、学校保険法施行規則が一部改正されました。
(この規則は幼稚園や保育園にも準用されています)。
 この機会に学校(幼稚園・保育園)における伝染病予防についてお話します。


伝染病予防と登園・登校停止
 学校保健法施行規則では学校伝染病が発生した場合、伝染病を排除するために、また、児童の生徒の健康管理のために、学校長は伝染病にかかっていたり、その疑いがある児童・生徒の出席を停止させることがあります。

なぜ、伝染病になったら、学校へ行ってはいけないの?
学校などの集団生活の中で感染症が発生するとまたたく間に病気が広がってしまう危険性があります。
そこで、学校保健法では伝染病にかかった児童や生徒の登園・登校停止や学校の休業(学級閉鎖や学校閉鎖)について決めています。これらの伝染病にかかった時にはかかりつけの医師や学校医とよく相談しながら対処することが大切です。

学校での感染症の伝染病予防は学校保健法で決められています。
 教育の場であり、集団生活の場でもある学校では、健康な状態で教育を受けるようにするため、また望ましい学校環境を維持するために伝染病の流行を防止することがとても大切です。 このため文部省では感染症の中でも人から人へ伝染する病気(伝染病)の予防に関して必要な事項を定めています。 これが「学校保健施行規則」です。

感染症の伝染予防と登園・登校停止
 病原体を多量に排泄している感染症患者は、他の人に感染させるおそれのある状態のときは集団の中に入ることを避ける必要があります。また病気が回復するまで治療をしなければなりません。そのため学校保健法では伝染病に罹っている児童や生徒の登園・登校を停止するよう定めています。この登園・登校停止期間は伝染病の種類によって異なりますので参考にしてください。

伝染病と学級や学校閉鎖
 学校における伝染病予防のより強力な措置として行われるのが、学校の一部または全部に対して授業を停止する学級閉鎖や学校閉鎖です。このような学校の臨時休業は、一般的に欠席者や罹患者が通常より急速に多くなったときに、地域における流行状況を考慮に入れて時期を失することなく実施されるものです
 出席停止は学校保健法施行規則によって、伝染病を3種に分けて規定しています。
第1種は感染症予防法1類及び2類の感染症で、その病気が治癒するまでとされています。
第2種は飛沫感染する伝染病であり、出席停止期間の基準がそれぞれ規定されています。
第3種は伝染病は学校教育活動を通じて流行を広げる可能性がある伝染病で、医師の判断、もしくは条件によって対応が異なってきます。

登園・登校停止が必要な伝染病と登園・登校基準
分類病名

登園・登校停止期間のめやす(太字は今回見直されたところ)

第一種コレラ
赤痢
腸チフス 等
治癒するまで
第二種インフルエンザ
発症した後5日を経過しかつ解熱した後2日を経過するまで
百日咳
特有な咳が消失するまで又は、5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで
麻疹 解熱した後3日を経過するまで
流行性耳下腺炎
耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後、5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで消失するまで
風疹 紅斑性の発疹が消失するまで
水疱瘡 すべての発疹が痂皮化するまで
咽頭結膜熱
(プール熱)
主要症状が消退した後2日を経過するまで
(ただし、病状により医師が伝染のおそれがないと認めたときは、この限りではない)
結核 医師により伝染のおそれがないと認められるまで
第三種腸管出血性
大腸菌感染症
症状は改善し、医師により伝染のおそれがないと認められるまで無症状性病原体保有者には登園・登校停止は不要
流行性角結膜炎
急性出血性結膜炎
眼症状改善し、医師により伝染のおそれがないと認められるまで

  B条件によって登園・登校停止の措置が必要と考えられる伝染病
分類病名登園・登校停止期間のめやす留意事項
第三種
その他
A群溶連菌感染症 適切な抗生剤治療後24時間を経て、解熱し、全身症状態良好となったとき (和歌山県では登園・登校停止の措置は不要としている)
手足口病

ヘルパンギーナ
咽頭内でのウイルス増殖期間中飛沫感染するため、発熱や、咽頭・口腔の所見の強い急性期は感染源となるが、解熱し、全身症状安定していれば、出席停止の意義は少ないので登園・登校可である(和歌山県では登園・登校停止の措置は不要としている。)
一般的な予防法の励行
伝染性紅斑発疹期には感染力はほとんど消失していると考えられるので、発疹のみで全身状態良好なら登園・登校可能である(和歌山県では登園・登校停止の措置は不要としている。)
妊婦の感染に注意
急性期の症状の変化にも注意
ウイルス肝炎 主要症状消失し、肝機能正常化したとき B型肝炎・C型肝炎の無症状性病原体保有者は登園・登校停止は不要
マイコプラズマ感染症感染力の強い急性期が終わった後症状改善し、全身状態良好なら登園・登校可能である
流行性嘔吐下痢下痢、嘔吐から回復し、全身状態良好なら登園・登校可能である
通常登園・登校停止の措置は必要無いと考えられる伝染病

分類 病名 留意事項
第三種 アタマジラミ ジラミの駆除。爪切り。タオル、くし、ブラシの共有さける。着衣、シーツ、枕カバ−、帽子の洗濯と熱処理。発見したら一斉に駆除することが効果的である。
水いぼ 原則として、プールを禁止する必要はありません。しかし、二次感染のある場合は禁止とします。
多数の発疹のある者はプールでビート板や浮き輪の共有をさける。
水とびひ 病巣の処置と被覆。共同の入浴やプールは避ける。炎症症状の強いものや広範なものでは病巣の被覆を行い直接接触を避けるよう指導します。

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