【ロタウイルス感染症とは】

* ロタウイルスは、 レオウイルス科に属する中型(70nm)の球形ウイルスです。 
 感染対象は人間だけではなく、鳥や哺乳類全般に感受性があります。感染巣は、呼吸器と消化管です。
 体外に排泄されても、ロタウイルスは非常に安定しています。消毒されない限り、長期間感染性を保持します。 
 宿主が ヒトに限定されないこと、自然界で安定していることより、衛生状態の改善によってもロタウイルスの根絶は不可能です。

* 嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)の原因ウイルスの一つです。
  いろいろなウイルスが嘔吐下痢症をおこしますが、ロタウイルスの特徴は下記のとおりです。
 1:感染力が強く、特に乳幼児がかかりやすく、5歳までにほぼ全員が罹患します。
 2:脱水症が多く、若い月齢児ほど 入院治療が必要となりやすい。そっれに伴う腎不全などにも注意が必要です。
 3:意識障害、痙攣など、脳炎や脳症の発生も見られます。

* 欧州においては、外来を受診したロタウイルス胃腸炎の子どものために、家族が仕事を休む割合は20〜100%、
  休みの平均日数は3.4〜7.5日に及ぶといった調査結果が報告されています。

* 保菌者(キャリアー)が多い
  感染後に免疫を獲得し、ウイルスにかかっても症状がでない人を、保菌者とよびます。
  ロタウイルスに関しては、乳幼児期に ほぼ全員が感染しますので、就学期以後は感染しても保菌者となる可能性があります。
  ロタウイルス保菌者は、嘔吐下痢症を認めませんが、糞便や喀痰・唾にウイルスを排菌します。
  体外に排出されても、ロタウイルスの感染力は持続します。
  しばらく、感染性が残るため、集団生活環境内で、無症状保菌者による汚染拡大が認められます。
  小児集団内で汚染環境を形成し、ロタウイルスに免疫の無い乳幼児が この環境に偶発的に接触した場合、嘔吐下痢症を起こしてしまいます。

* 乳幼児の ロタ感染症を予防するために
  ロタウイルス感染症からお子様を守るためには、ワクチンによる早期予防が大切です。
  ロタウイルス感染症時に、熱性痙攣や脳症・脱水症を起こしやすい年代は、2歳以下です。
  ロタウイルスは根絶することができないウイルスですので、接触を避けることは不可能です。
  ロタウイルスワクチンは、生後6週から接種出来ます。主治医・かかりつけ医の先生と相談の上、接種をご検討ください。
 
【注意事項】
  ロタウイルスワクチン(生ワクチン)内服後 4週間は、他の予防接種を控えてください。
  ロタウイルスワクチン接種は、他の予防接種のプランに影響します。
  アクトヒブやプレベナー(PCV13)、DPT-IPVを予定される方は、担当医師と接種プラン(同時接種)に関して事前に ご相談ください。


【 ロタリックスとロタテック 】


 ロタウイルスワクチンには、下記の2種類のワクチンがあります。2種類とも接種可能で、保護者の希望でどちらか選択していただいてます。

 ロタリックスは、わが国でい板多く検出されるG1P[8]株を対象とした 1価ワクチンです。
 【製造メーカー】 GSK (2004年承認)

 ロタウイルスの抗原類似性のため、G1P[8]以外にも G2P[4]、G3P[8]、G4P[8]、G9P[8]に対する交差免疫性が示唆されています。
  重症ロタウイルス胃腸炎予防効果 85%

 ロタテックは、ロタウイルス胃腸炎の原因として90%以上を占めるG1P[8],G2P[4],G3P[8],G4P[8]、G9P[8]株を対象とした5価のワクチンです。
 【製造メーカー】 MSD(2005年承認)
  重症ロタウイルス胃腸炎予防効果 98%

 
[接種週齢/接種回数・方法]

 ロタリックス
 生後6週以後 24週初日までの乳児を対象とします。
 接種回数:2回 (4週以上の間隔で2回内服します。)
 接種方法:経口接種。シロップ製剤を口から内服します。
【補足】出生日を 0日として、42日以後の接種となります。
【ご注意】生後24週初日までに、2回目の終了が必要です。
 初回接種は、20週初日 までにお済ませください。

 ロタテック
 生後6週以後、32週初日までの乳児を対象とします。
 接種回数:3回(4週以上の間隔で3回内服します。
【ご注意】生後32週初日までに、3回目の終了が必要です。
 初回接種は生後14週6日までにお済ませください。