流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

  おたふくかぜは唾液を出す腺の一つである耳下腺や顎下腺が腫れ、熱の伴う病気で幼児や学童の主要伝染病です。
 病原体は流行性耳下腺炎ウイルスで、感染経路は患児との接触による直接感染、飛沫感染やつばや尿による間接感染があります。伝染力は耳下腺が腫れる1週前から腫れが消えてから3日までと言われています。 

主な症状

 耳下腺の腫れと発熱です。発熱と耳下腺の腫れは同時にみられ、熱が下がっても耳下腺の腫れは残ります。発熱は普通38−39度程度で40度以上はまれで3日ほどで下がります。又発熱を見ない子も多く見られます。耳下腺の腫脹は痛みを伴い過半数が片側性ですが、両側同時に腫れることも、片方が腫れ、1〜2日のうちに他方が腫れてくることもあります。腫脹は3〜7日持続します。1度罹患すると、一生の免疫が得られます。おたふくかぜが2度かかったとよく聞きますが、「反復性耳下腺炎」などが間違って「おたふくかぜ」と診断された可能性があります。また「おたふくかぜ」ウィルスに感染しても30-40%人が何の症状も出現しません。これを不顕性感染と呼びます。これらの人も2度と感染しません。
 耳下腺腫脹開始前後が最も感染性が高いとされています。学校伝染病としての登校停止期間は、耳下腺の腫脹が消失するまでと定められています。しかし、発症前からウィルスを排出していることなどから、隔離による予防はあまり有効ではありません。 

合併症

 おたふくかぜはしばしばいろいろな合併症をおこします。、小さな子どもでは無菌性髄膜炎が、40−50人に1人の頻度でみられ男の子に多いようです。
 睾丸炎は成人の罹患の際には20-35%くらいにみられますが 、不妊の原因となるのはまれと言われています。
 難聴の発生頻度は1,500人に1人とされていますが、和歌山県の紀北地区では400−500人に1人という報告があります。多くは一側性で難治性の聴力障害を起こします。その他、膵臓炎、卵巣炎、腎炎などを併発することがあります。 

治療

 症状に合わせて治療を行いますが特異的な治療法はありません。合併症を考えると安静が一番大切です。食べ物も脂っこいものは避け、食べ物の固さは噛む力に応じて加減しましょう。みかんなどの酸味のある食品は唾液の分泌を増加させるので、痛みを増すので避けましょう。

予防法

 昭和56年から弱毒生おたふくかぜワクチンが発売されています。予防効果は90%以上とされています。おたふくかぜは、無菌性髄膜炎や難聴など合併症が重大ですので、集団生活がはじまるまでにワクチン接種を済ませるべきものと思います。

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